よくいただくご質問

原材料

スナックフーズの主原料はどんなもの?
スナックフーズは、大きくポテトチップス、成型ポテトチップス、コーン系スナック、小麦系スナック、その他野菜系スナックと、主原料により製品ジャンルが大別されます。
主原料として、ポテトチップスはじゃがいも、成型ポテトチップスはポテトフレーク(乾燥マッシュポテト)、コーン系スナックはとうもろこし又はコーングリッツ、小麦系スナックは小麦、その他野菜系スナックはポテトフレークやとうもろこし粉等の生地をベースにえんどう豆やにんじん等を用いて商品の特色を出します。
シリアルフーズの主原料はどんなもの?
シリアルフーズは、コーンフレーク、玄米フレーク、グラノーラ、オートミール、その他シリアルと、原料及び製法の違いにより大別できます。
主原料として、コーンフレークはコーングリッツ、玄米フレークは米(玄米)、グラノーラについては最近様々な商品が販売されていますが、主として、オーツ麦や、ライ麦、小麦等のパフ(膨化処理してサクサクさせたもの)等、オートミールはオーツ麦、その他シリアルは、ブラン(ふすま)、米、小麦等が使われています。
じゃがいもやとうもろこしなど、主原料の産地はどこ?
ポテトチップス用の原料であるじゃがいもは、その9割以上が北海道や南九州などの国内産ですが、国内産のみでは不足するため、一部のメーカーは産地と品種を指定したうえで米国産(植物防疫法により一部の州のみ輸入可)を使用しています。ポテトフレークは、ドイツ、米国産が主となります。また、とうもろこしは、米国産のほか、一部の商品はインド産や南アフリカ産を使用しています。オーツ麦は、オーストラリア産のほか、フィンランド、英国、カナダ産などが使われています。
スナックフーズやシリアルフーズの原料となるコーングリッツとはどんなもの?
とうもろこしは丸粒のままだと、軸との接合部や硬い外皮が入り、食感が低下することや、胚芽の油分が製品の劣化を早め、製品の仕上がりにも悪影響を与えることから、これらを除去したうえで、胚乳部だけを取り出し、大きく粉砕したものを使用します。これをコーングリッツといいます。また、コーンフレークを製造する場合は、コーングリッツに加水し、加熱・圧延することにより、薄く平たいフレークの一次原料にします。
スナックフーズを製造する際に使う油(揚げ油)はどんなもの?
スナックフーズの製造に当たって、基本的には植物油を使用しますが、その際、特に、酸化を抑え、製品の品質を長く保てることや、油由来のクセが少ないこと、安定的に調達可能なことが重視されます。このため、パーム油、こめ油、なたね油等が主に使われています。このほか、独特の風味を出すため、ごま油やオリーブ油や、ラードを使用する商品もあります。
なお、パーム油の原料となるアブラヤシの生産にあたっては、環境保護やそこで働く人々の人権、コミュニティ確保等が大きな問題となっています。このため、パーム油の持続的な生産と利用等の推進の観点から、持続可能なパーム油に関する円卓会議 (RSPO)のメンバーとなり、積極的にこの取組に賛同・参画する本協会会員も増えています。
遺伝子組換えとうもろこしやじゃがいもを使用していますか?
我が国では、スナックフーズやシリアルフーズの主原料として、遺伝子組換え作物※1を使用している例はありません。
また、粒が小さく、混入の懸念のあるとうもろこしの場合は、生産から流通、加工の各過程で遺伝子組換えとうもろこしと混じることのないよう、適切に分別生産流通管理(IPハンドリング)を行っており、通常、その旨を任意表示しています。
なお、我が国においては、遺伝子組換え作物を主原料とした食品(油やしょうゆは除く※2)は「遺伝子組換え」の表示が、また、遺伝子組換え作物と分別管理していない作物を使用した食品も、「遺伝子組換え不分別」の表示が、それぞれ義務化されており、とうもろこしやじゃがいもも、この対象となっています。
※1 大豆、とうもろこし、じゃがいも、なたね、綿実等9種類の農産物
※2 油やしょうゆなど、組み換えられたDNA及びこれによって生じたたんぱく質が加工工程で除去・分解された食品については、非遺伝子組換え農産物から製造した油やしょうゆと科学的に品質上の差異がないため、遺伝子組換えに関する表示義務から除外されています。コーンフレークは組み換えられたDNAやこれによって生じたたんぱく質が検出できないため、義務表示の対象外です。
残留農薬の対策はどうなっていますか?
食品衛生法により、国産品・輸入品を問わず、食品に残留する農薬は、「残留農薬基準」として、その規制値が示されており、これを超える農薬が残留している場合は、販売禁止、回収・廃棄等の措置がとられます。
このため、厚生労働省は、我が国で流通している農産物中の残留農薬の実態を把握するため、毎年度、国産及び輸入食品中の残留農薬のモニタリング調査を実施・公表しています。
スナック・シリアルともに、とうもろこし、小麦、ポテトフレークなど、輸入原料を使用することが多いのですが、これらの輸入の際には検疫所への届出が必要です。厚生労働省は、毎年、輸入食品監視指導計画に基づいて、届出された輸入品のモニタリング検査を実施し、違反が確認されると、検査の頻度を高めたり、違反の可能性の高い食品に対しては、輸入の都度、検査を行うなどの措置が講じられます。なお、違反が確認された場合には、輸入が不許可となり、廃棄や輸出地に送り返し、原因究明や再発防止を指導するなどの措置を講じられることになります。こうしたリスクを避けるため、原料の輸入業者は、通常、事前に輸入先で残留農薬の積地検査を実施した上で輸入しています。
また、我が国では、農作物の生産段階において、農薬取締法により、安全性が確認された登録農薬ごとに使用できる作物や使用できる時期、使用してよい量などの使用基準が定められており、使用基準以外の方法での使用は禁止されています。

加工・製品

HACCPによる衛生管理への対応はどうなっていますか?
平成30年に食品衛生法の大きな見直しが行われ、令和3年6月より、原則としてすべての食品製造事業者は、HACCPに基づく衛生管理又はHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を実施する必要があり、本協会会員メーカーもすべてその対象になっています。
その際、食品等の取扱い従事者数が50人以上の大規模事業所は、HACCPに基づく衛生管理として、コーデックスのHACCP7原則に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造方法等に応じ、計画を作成し、管理を行っています。
一方、その従事者数が50人未満の小規模事業所では、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を実施することとし、業界団体が作成し、厚生労働省が内容を確認した手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行っています。本業界においては、菓子の上部団体である全日本菓子協会等が作成した菓子製造業における衛生管理計画作成の手引書に基づいて衛生管理を行っています。
カロリー(熱量)はどれくらいですか?
各商品によって、数値はかなり異なりますが、日本食品標準成分表2020年版(八訂)により、代表的な事例で100gあたりの数値を見ると、スナックフーズでは、ポテトチップス:541kcal、成型ポテトチップス:515kcal、コーン系スナック:516kcal、小麦系スナック:472kcalであり、現在主流の1包装あたり容量60gに換算すると、300kcal程度となります。
シリアルフーズについては、コーンフレーク:380kcal、グラノーラの数値は掲載されていませんが、各メーカーの代表的な商品について公表数値から換算すると、100gあたり400~450kcal程度となっています。一般的に、1食あたり摂取量は40~50gとされており、換算すると200kcal程度となります。なお、特に、グラノーラは、糖質オフや特定の成分を強化した商品も多数販売されており、詳しくは各商品の栄養成分情報を確認してください。
スナックフーズを食べると塩分のとり過ぎになりませんか?
上述の日本食品標準成分表によれば、100gあたりの食塩相当量は、ポテトチップス:1.0g、成型ポテトチップス:0.9g、コーン系スナック:1.2g、小麦系スナック:1.8gとなっています。最近のスナックフーズの主流となっている60g包装の商品で換算すると、それぞれ、0.6g、0.54g、0.72g、1.08gとなります。ちなみに、6枚切りの食パン1枚(60g)に含まれる食塩相当量は0.72g、ゆでうどん1玉(250g)は0.75gとなります。厚生労働省による日本人の食塩相当量の目標値は、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満とされていますが、スナックフーズは、おやつや手軽に食べられる食品として扱われるものであり、主食としてこればかりを食べるものではありません。健康を維持するためには、平成28年6月に、文部科学省、厚生労働省、農林水産省の三省連携により作成された「食生活指針」にもある通り、様々な種類の食品をバランスよく摂取することが大切です。
油脂分はどれくらい含まれますか?
これも、日本食品標準成分表によれば、100gあたりの脂質量は、ポテトチップス:35.2g、成型ポテトチップス:32.0g、コーン系スナック:27.1g、小麦系スナック:19.5gとなっています。スナックフーズの多くは、植物油で揚げることから、脂質の含有量が多くなります。一方、近年、油で揚げないノンフライの商品も開発されるなど、多種多様な商品が販売されており、詳しくは各商品の栄養成分情報を確認してください。
スナックフーズは、主食として扱われるわけではなく、こればかりを食べ続けるものではありません。脂質自体は重要な栄養素でもありますが、近年は、食生活の変化によりその摂取過剰が懸念されています。健康を維持するためには、脂質全体の摂取量に十分配慮し、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
スナックフーズを製造する際に使う油(揚げ油)は何回くらい使用されますか?
スナックフーズの製造時の揚げ油は、フライヤー(揚げ工程)に連続的に注入され、その工程を流れる原料には常に新しい食用油が供給されることになります。したがって、家庭や料理店のように、何回か使い、油が劣化したら取り換えるというものではありません。なお、揚げ油としては、主にパーム油、こめ油、なたね油等を使用し、油の酸化・劣化を遅らせ、製品の品質を長く保てるよう配慮しています。
トランス脂肪酸はどれくらい含まれますか?
我が国では、トランス脂肪酸増加の大きな原因となる油脂の精製や加工段階の改善が進んだことから、近年では、マーガリン、ショートニングを始めとする油脂類のトランス脂肪酸濃度は大幅に低下しています。その結果、これらを使用するスナックフーズ等についても、その数値は減少傾向にあります。平成27/28年の農林水産省の含有実態調査結果によれば、スナック類のサンプル中央値は、0.25g/100gであり、アップルパイやデニッシュとほぼ同水準でした。
WHO/FAO合同専門家会合は、2003年に、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう勧告しており、これを日本人に当てはめると、1%に相当するトランス脂肪酸の量は約2グラムとなります。一方、2012年3月の食品安全委員会による食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価によると、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は、総エネルギー摂取量の0.3%と推定されており、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられています。
スナックフーズのアクリルアミドはどうなっていますか?
アクリルアミドは、原材料に含まれている特定のアミノ酸(アスパラギン)と還元糖(ブドウ糖、果糖等)が、120℃以上の高温での加熱により化学反応を起こして発生します。このため、じゃがいもや小麦などの穀物を原料とするポテト系の加工食品や料理のほか、コーヒー豆やほうじ茶などの高温で焙煎した食品にも含まれ、家庭で調理する場合も条件が整えば発生します。
本協会においては、アクリルアミド低減のため、平成21年度に対策委員会を設置し、最新の低減対策についての知見を蓄積・共有しそれを速やかに実施に移すなど、協会を挙げて対策に取り組んできました。こうした取り組みにより、農林水産省の食品中のアクリルアミドの含有実態調査によれば、委員会発足当初に比べ、その数値は有意に低下し、平均で5割程度まで低減しています。なお、これらの結果については、農林水産省のホームページで、「アクリルアミド濃度の低減が裏付けられた事例」として紹介されています。今後とも、農林水産省の定めた食品関連事業者向け「食品中のアクリルアミドを低減するための指針」等を踏まえ、引き続き、低減の取組みを推進します。
ポテトチップスの製造にあたっては、どのようなアクリルアミド削減対策が行われていますか?
(1)原料じゃがいもの選択と貯蔵
アクリルアミドをできるだけ低く抑えるためには、まず、適切な原料の選択から始まります。ポテトチップス向けのじゃがいもは、アクリルアミドの発生要因の一つである還元糖濃度の低い品種(トヨシロ、きたひめ、スノーデン、ぽろしり等)が使用されます。これらの品種は、加熱調理しても、アクリルアミドが多く含まれる褐変や焦げが少なく、「カラー」が良好です。また、発芽を防ぎ、還元糖の発生を最小限に抑えるためには、じゃがいもの貯蔵時の温度管理も大切です。温度を下げ過ぎると、逆に低温糖化が起こるため、単に温度を下げれば良いというものではありません。最適な貯蔵温度帯は品種ごとにそれぞれ決まっており、工場への搬出まで、極力、この温度帯を保持した貯蔵を行ないます。

(2)原料じゃがいもの加工(前処理)
じゃがいもの発芽・緑化部位や打撲、損傷部位はアクリルアミドの原因となる焦げが発生しやすいことから、原料選別を厳しく設定するのはもちろんのこと、比較的障害の小さいいもについても、これらの部位は健全な部分も含めて大きく切り落として使用します。次に、スライスに続いて、洗浄したり、ブランチング(軽い湯通し)したりして糖分を洗い流します。その際、還元糖の濃度により、ブランチングの温度や時間を調整します。また、pHが低くなると、アクリルアミドの生成が抑えられることから、洗浄液等にクエン酸等を添加する場合もあります。メーカーによっては、スライス片をパルス電解処理(PEF)することにより、じゃがいもの細胞膜に超微細な孔をあけ、糖分の溶出を促進させているところもあります。

(3)原料じゃがいもの加工(揚げ処理)
こうした前処理の後、揚げ工程に入りますが、揚げ油の温度や時間も、揚げ色が濃くなり過ぎず、褐変や焦げが極力発生しないよう還元糖の濃度に応じてロットごとに、1℃及び秒単位での微調整を繰り返します。水分含量が少ないとアクリルアミドの発生量が多くなることが知られており、特に、揚げ工程の後半は加熱のし過ぎに十分注意を払います。揚げ上がったら、過加熱にならないよう直ちに送風し、速やかに余熱を取り除きます。続いて、色彩選別機にかけ、焦げたものや褐変が著しいものを取り除きますが、さらに、目視により、再度、入念に選別・除去します。この後、シーズニング(風味付け)を行ないますが、この段階になると、還元糖を添加したとしても、アクリルアミドを生成することはありません。
スナックフーズは健康に良くないの?
先にも述べたとおり、スナックフーズは、おやつや間食として食べられる食品であり、主食代わりにこればかりを食べるべきものではありません。一方、おやつや間食は、長時間の空腹を緩和し、血糖値の急上昇や食べ過ぎを抑える、空腹による集中力の低下やストレスを防ぎ、仕事の効率を向上させるなどの積極的な効果が期待できるほか、子供の場合は、三度の食事では摂り切れなかった栄養分の補給源にもなります。スナックフーズを食べ過ぎて、主食に影響したり、脂質や塩分の過剰摂取になったりするようだと逆効果ですが、このような観点から食べる適度なスナックフーズは、健康にとってむしろプラスに働くものと考えられます。
シリアルフーズは健康にいいの?
シリアルフーズは、とうもろこし、オーツ麦、小麦など、炭水化物を多く含む穀類がベースとなっています。したがって、基本的には、主食としてエネルギー源となりうるものであり、他の栄養成分もある程度確保できます。シリアルフーズ1食(40~50g)あたりの熱量は200kcal程度なので、軽くよそったご飯(140g)220kcalとほぼ同程度となります。しかし、ご飯やパンがそうであるように、これだけを食べ続けて健康が維持できるわけではありません。たんぱく質を多く含む食品や野菜、果物を組み合わせるなど、できるだけバランスの良い食事内容とすることが必要です。各メーカーからは、シリアルフーズを使った様々なレシピが提案されていますが、これらを参考に、不足する栄養成分を補うなど、食べ方を工夫して健康で豊かな食生活の実現に役立ててください。